松坂桃李、23歳。ファッション志のモデルオーディションに合格し、芸能界入りしたのはわずか３年前。
出演作ごとにまったく违う表情を见せる演技力が评価され、今や若手No.1俳优として注目を集めている。
「そう言ってもらえるのは素直にうれしいです。
仕事に専念するため、通っていた大学を辞めたので、改めてこの选択は间违っていなかったと自信が持てました。
役者になったことに后悔はありません」
本志が事前に入手していた松坂の性格は「シャイで寡黙」。
しかし、いったん演技の话が始まると惊くほど饶舌になっていく。
演じることの何が、そこまで彼を魅了するのだろう。
「役を通して、その人の人生を追体験できるところですね。
自分自身の人生では绝対経験できないことも、役でなら味わえる。
今収录中の『梅ちゃん先生』は终戦直后の时代设定で、セットや衣装、すべてが新鲜です。
今后はもっと时代をさかのぼった歴史物にも挑戦したいですし、いつかは大河ドラマにも出演させていただきたいです」


臆することなく目标を语る松坂だが、彼が芸能界入りしたのは20歳の时。
デビュー３年でブレイクした、いわばシンデレラボーイだ。
下积みが长い俳优が多い中、あっという间にスターダムにのし上がった自分に対して、ある种の恐怖感を覚えることはないのだろうか。
そう寻ねると、松坂はしばらく沈黙してから、ゆっくりと口を开いた。
「…正直、恐怖感は常にあります。いまだに、自分の出演作を见るのがつらいんです。
『どうして、もっと上手くできなかったのか』とか、『こうすればよかった』と后悔の连続だから。
それに、役が决まった时、『本当に、仆にこの役が务まるのか』と、一瞬身震いすることもあります。
でも今では、その恐怖感を自分を鼓舞する材料に変えたいと思えるようになりました。
以前は、いい役をいただいても、『仆よりもっと巧い役者さんが演じたほうがいいんじゃないか』と考えてしまっていました。
そんなふうにわざと受け身になることで、プレッシャーや自信のなさをごまかしていたのかもしれません。
でも今は、自分でも信じられないほど贪欲です。
最初は身震いしたとしても、台本を読めば読むほど、『この役は谁にも渡したくない』という気持ちが涌き上がってくるんです。
だから、役をいただいた限りは、期待以上の演技を见せたい。
恐れる自分と、负けず嫌いな自分をいつも戦わせている感じです」


「この仕事を始めるまでは、芸能界ってキラキラしているようなイメージだったんですが、いざやってみると意外と泥臭いですね。
皆さん、见えないところで地道に努力しているからこそ、表舞台で“キラキラ”を放てるのだと実感しました。
だからこそ、仆も自分にハッパをかけ続けていかないといけないと思っています」
静かに、しかしまっすぐ前を见据えてハッキリと己への决意を语る松坂。
ただ、残念ながらプライベートはまるで“キラキラ”がない生活のようだ。


「23歳男子のプライベートとしては、かなり寂しいかもしれない(笑)
普段は、友人と时间が合わないこともあり、たいてい一人で行动しています。
一人焼き肉、一人カラオケはしょっちゅうですよ。
気兼ねなく好きな肉を食べて、好きな歌を歌うってホントに快感なんです。
ただ、お酒は家呑み派。芋焼酎の水割りを１～２杯、コンビニで买ったおつまみ片手に、ひっかけるのが好きですね」
质素すぎる気がしないでもないが、今はそれ以上に仕事に梦中なのだからいいのだろう。
ただし、仕事を理由に“普通”を手放す気はないという。


「一人の社会人として“普通の感覚”は忘れたくないですね。
普通の生活の中にこそ、役者として学べることが一番隠されていると思うから。
それもあって仕事场へは、电车やバスで移动しています。
车内では…、もっぱら人间観察に励んでいます。
この间はちょっとしたいざこざに遭遇して、『ケンカってこうやって始まるんだ。本物はやっぱり自然だな』とじっくり勉强させてもらいました。
最近では、たまに街中で、『松坂くんですよね？』と话しかけられたりもしますが、耻ずかしくて、どうしていいのか分からず、『いえ、违います』と答えてしまうんです(笑)」


今后、この生活を守り通すのは难しくなるかもしれない。
プライベートを追われるのは、人気俳优として前进する上で避けて通れない道でもあるからだ。
「実は亲戚のおじさんから、『俳优はフライデーされてこそ一人前だぞ』とアドバイスされまして。
それなら、来年の目标にしてみるのも悪くないでしょうか。
ただ、一人焼き肉や一人カラオケを満吃している姿はさすがに格好悪いので、勘弁してくださいね(笑)」