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东野第一次参选江户川乱步奖之作-娃娃们的家

只看楼主收藏回复

一楼给度娘


1楼2012-05-18 09:05回复
    几年前日本有个东野的公式网站(是东野老师认可的)
    可惜现在已经闭站了
    那时也有搞些网友投稿甚麼的,如果是佳作,东野老师还会亲自写评语
    大家都知道,东野是85年以“放学后”得了江户川乱步奖而出道
    事实上83和84年分别以“娃娃们的家”和“魔球”投稿,都入围了,但没有得奖
    “魔球”已经出版,但“娃娃们的家”从未揭载过
    当时那网站就有连载“娃娃们的家”,可惜最后烂尾了,未连载完网站就挂了
    当时我储存了那连载(日文的)
    本来想贴上来,但貌似要经过审核
    如果有兴趣的话问我要吧
    不知道以后会不会出版?


    2楼2012-05-18 09:16
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      几年前日本有个东野的公式网站(是东野老师认可的)
      可惜现在已经闭站了
      那时也有搞些网友投稿甚麼的,如果是佳作,东野老师还会亲自写评语
      大家都知道,东野是85年以“放学后”得了江户川乱步奖而出道
      事实上83和84年分别以“娃娃们的家”和“魔球”投稿,都入围了,但没有得奖
      “魔球”已经出版,但“娃娃们的家”从未揭载过
      当时那网站就有连载“娃娃们的家”,可惜最后烂尾了,未连载完网站就挂了
      当时我储存了那连载(日语的)
      プロローグ
      今年の春は暖かいな・・・小堀久志は目の前を歩いている幼い娘の后を追いながら、ふっとため息をついた。思えば、こんな気分になるのも久し振りだった。三年前に妻を亡くし、嫁入り前の和美と、幼子の里子をかかえての生活は、苦闘以上の何物でもなかった。二人の娘にだけは、ひもじい思いをさせまいと、自分はうどん玉に汤をかけて啜るだけの日もあった。  だが今日は、その苦闘の日々が报われる日なのである。「お父さん、早く歩かないと遅れちゃうよ」 无邪気に里子が手を引っぱった。少女の白い服も白い靴も、すべて目に渗みる程に美しく辉いている。 今日、それは和美の结婚式の日だった。勿论、これからの人生における、花嫁の出発点であることは言うまでもないが、我々にとっても大切な旅立ちの日だ、と久志は思っていた。 一年前、あの青年が初めて访れて来た时には惊かされたな、と彼は楽しい思い出に、今さらながら苦笑した。その前日、和美から明日逢って欲しい人がいる、と闻かされた时には、正直言って相手の若者に、さほど期待はしていなかった。というのは、亲の目から见ても、娘は决して美人の部类には属さないだろうと思っていたし、豊かな家庭に育った同世代の女性达と比较しても、実际地味で目立たなかった。だから、そんな娘と恋爱する男なら、见ばえはしないだろうとタカをくくっていたのだ。それでもまあ男は外见ではなく中身が问题だと、品定めするつもりで逢ったのであるが・・・。 青年は久志の予想をはるかに上回った好男子だった。浓绀の背広を折目良く着こなし、髪も床屋に行ったらしく丁宁に分けて、精一杯の诚意を示そうとしている様子が好ましかった。 青年は前岛义则と名乗った。ある小さな印刷会社に务めており、和美が働いているスポーツ店の一人だったと言う。 前岛の结婚の申し込みは印象的だった。会话の途中、突然座り直したかと思うと、久志の目をじっと见つめ、「和美さんと、一绪に生きて行きたいです」と言って头を下げたきり动かなくなった。久志が面喰らったまま、「どうしてまた和美を・・・」とたずねると、前岛は头を畳につけたまま答えた。「好き嫌いに理屈はありません」 その日は结局、回答を出さぬまま前岛を帰したが、久志の心は决まっていたと言えるだろう。青年の振舞いには、何ら下心がある様に思えなかったし、久志は自分の第一印象を信じていた。そして何よりも、共に苦しんできた娘の眼を信頼していた。 前岛に、両亲や亲戚らしい人间が居ないことに、何らこだわるつもりはなかった。むしろ和美にしてみれば、その方が気楽でいいだろうと思っていた。 天涯孤独の青年と、片亲だけの娘との縁谈は、まとまるのに时间はかからない。式の日取りも场所も、またたく间に决まり、今日この日まで、感慨にふける暇もなかった。 だが、今朝和美が、一足先に教会へ行くと言って玄関まで出て、急にふり返ると、「お父さん、ありがとう」と涙声で言った时には、久志は思わず目头が热くなった。——まるでホームドラマだったな。  今朝の感慨から目をそらすように、久志は青空を见上げた。まだ三月だというのに日射しは强い。教会の十字架に反射して、久志の目に飞び込んで来た。「もう姉さん白いドレス着てるかな?」 里子はまぶしそうに、教会に目を向けた。「そうだね、もう白い服を着て、父さん达を待ってるかもしれないね。」「违うよ、姉さんの待ってる人は、おムコさんだよ」「そうか、おムコさんか」「姉さんの花嫁さんか・・・きれいだろうなあ」「里子がお嫁さんに行くのは、いつだろう」「その时までお父さん、死なないでね」「死ぬ?死ぬもんか、あっはっは」 『死』という禁句も、里子にかかれば型无しだった。「ちょっと父さん、烟草を买ってくるから、ここで待っているんだよ」 久志は50M程先の、烟草の自动贩売机に目を向けながら言った。「うん、待ってる」「じゃ、急いで行ってくるからね」 彼は小走りで、自贩机に向った。今日の様な祭日明けの教会付近には、歩いている人も居ない。静かな结婚式になりそうだ、と久志は再び十字架に目をやった。 事故はその时、久志の背后で起った。自动车の急ブレーキと、钝い冲撃音が、同时に彼の耳を袭った。惊きと恐れで振り返った直后、彼は全力で駆け出していた。少女の白い服、白い靴、そして赤い鲜血。「これは现実じゃない、これは现実じゃない」心の中で缲り返しながら、事态を混乱の中で理解した时、彼は血を吐く程に叫んでいた。


      3楼2012-05-18 09:34
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         軽い足取りで食堂に行くと、既に子供达は朝食を前にして、行仪よく座っていた。そして子供达に混って、直子さんや香月君、奈津江さんらの姿が见える。一早く俺の姿を见つけた子が、「あっ、ケイサツのお兄さんだ」と言って、小さな手をぎこちなく振ってくれた。 俺が、一番手前の空席に腰を下ろすのを见届けると、小堀园长が、「いただきます」と手を合わせ、皆も続いて「いただきます」と、食事を始めた。途端に背后で、食器をひっくり返す音がして、振り返って见るとスープを膝の上にぶちまけた子供が、けん命に立ち上ろうとしているところだった。「あらあら、次郎ちゃん大丈夫?」 即座に奈津江さんが、タオルを持って駆けつけた。こういう场合を考えて、スープはあまり热くない。子供が火伤する危険性が高いからだ。奈津江さんは驯れた手つきでズボンを穿きかえさせると、テーブルの上をきれいに拭き、スープをよそってあげた。小言ひとつ言ったりしない。ここではこんな事は日常茶饭事であり、その为に彼らが居るのだから。奈津江さんだけでなく、直子さんにしろ、香月君にしろ食事时间をゆっくり楽しんでいるのを、俺はこの一年见たことがない。勿论そんなこと覚悟の上だろうが、俺にはとても真似できない。立派だと思う。 义手を使って、けん命にパンにかじりつこうとしている子がいる。当然、谁も手伝ってやりはしない。しかし彼らはいつも见守っている。やさしく见守って、见事パンにかじりついた时には、心から喜ぶ。それが直子さん达の生きがいなのだろう。 一时间程の悪戦苦闘の末、ようやく全ての子供が食事を终えた。直子さん达も、いつの间にか食器を空にしている。流石はプロだ。  小堀园长の「ごちそうさまでした」で、朝食は何とか终わった。子供达は教员に导かれながら、部屋に戻っていった。「落ち着かんだろう。たまの避番に、ゆっくり朝食も食えなかったんじゃないか」 食后の一服を楽しんでいると、园长が声をかけてきた。食事中もしくは、子供达が食堂に居る时は、禁烟ということになっている。「いえ、もう惯れました。ここへ来て一年になりますから」「そうかい、もう一年になるかね。早いもんだね」「本当に冲田の叔父には感谢してるんですよ。こんな良い所へ住ませてもらって」「感谢するのはこっちだよ。素晴らしいガードマンを派遣してもらったんだから」「そう言えば、今日は冲田さん达がお见えになる日でしたわね」 いつの间にか、奈津江さんが戻って来ていた。手に子供の汚れた下着を持っている。「今日叔父达が?そうか今日は五日だな」 この『明爱园』を経営しているのが、俺の叔父である、冲田明彦なのだ。病院を二つ持っている大金持ちである、と言えば相当甲斐性がある様に思えるが、一つは祖父が建てた『冲田病院』で、もう一つは奥さんの爱子夫人の御父上が兴した『花城外科病院』を后継したものだから、大したことはない。 しかし豊富な财力の持ち主であることに変わりはない。叔父はあり余る金を、最も素晴らしいことに使った。すなわち、この『明爱园』を建てたのだ。この経纬を说明するには、叔父夫妇の一人娘である、理砂のことに触れなければならない。 理砂は生れて此方、自分の足で立ったことがない。详しいことは、あまり话したがらないので分からないが、叔父は父亲として医者として、あらゆる手を尽くした。しかし非情な运命は、とうとう理砂を车イスから立ち上がらせなかった。 こうして叔父は数年前、身体障害児の为の『明爱园』を设立したのである。爱子夫人に异论のあるはずはなかった。叔父はその时、「自分の娘の身体も直せない私が医者だなんて、おこがましいと思わないかい?この明爱园は私の忏悔なのだよ」と、告白する様に言った。俺は心の底から感动したことを、今も忘れていない。 明爱园は他の身体障害児施设とは、いろいろと异なる。まず他より小规模で、20床しかない。また他では、肢体不自由児施设と盲・ろうあ児施设とに区别されているが、ここは肢体が不自由な子も、眼や耳が不自由な子もいる。ただし皆、七才以下である。理由は简単だ。その顷には皆が、一般の小学校へ通える位にはなっているからだ。 身体障害児にコンプレックスを持たせずに、不自由なく生活が営めるようにさせる--これが明爱园の目的なのである。 その设立者の叔父は、毎月五日十五日二十五日に、子供达の诊察を兼ねて、様子を见に来るのだ。「叔父さんに逢うのは久し振りだな。ずっと仕事が忙しかったから」「この间お见えになった时も、たしか津村さんはお帰りになりませんでしたわね」「そうだったかな」「ええ、次の日の夜に帰って来られたんですわ。署に泊まったって、おっしゃってました」 奈津江君は细かいことでもよく覚えている。そう言われれば、たしかにそうだった。「叔父さんがここに来るのは何时顷かな?」「いつも大抵お昼过ぎですから、一时顷じゃないかしら」「一时か、それじゃ少し时间があるな」「部屋のそうじでもしたらどうですか?香月さんの话だとかなり乱れているらしいですから」 奈津江君はそう言ってクスッと笑った。


        5楼2012-05-18 09:34
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           近づいて见ると、彼女はなかなかの美人である。この町内に、あんな美人は直子さんぐらいのものだが、と见とれていると、「あの、ちょっとお寻ねします」と、向こうから声をかけてきた。こんなことは、年に一度あるかないかの事だ。「明爱园へ行くには、どの道を行けばいいんでしょうか?」 こいつは惊いた。この美人は我が住処に用があるらしい。こうなると、年に一度位の騒ぎではない。「ああ、明爱园ならぼくが案内しましょう。そこの者なんですよ」「まあ、それは幸运でしたわ。ここまで来て、道に迷って困っていたところですの」 久し振りに、直子さん以外の、若い女性の声を闻いた。勿论、悪い気はしない。 案内しましょう、と気取って歩き出したのは良かったが、明爱园はすぐそこである。その短い道のりで闻いたところによると、彼女は今度冬休みを利用して、明爱园の手伝いをしてくれるのだそうだ。何でも、大学のボランティア活动のサークルに入っているらしく、今回もその関系らしい。「私の先辈が、先日冲田さんにお逢いして、话を决めて下さったそうです。その先辈も一绪にお世话になるんです」「その方は、今日はお见えにならないのですか?」「いえ、今日先辈は先に冲田さんのお宅に寄って、御一绪にこられるはずです」「その先辈というのは、男性ですか?」 俺は、さっきからしたくてたまらなかった质问を口に出した。しかし返答はなかった。俺の声が小さかった为もあるが、明爱园の门が现れて、彼女の趣味が移ってしまったからだろう。「まあ、素敌」 瞬间俺は、皮肉を言われたのかと思った。というのは、前身が経営不振の幼稚园だったぐらいだから、建物自体相当くたびれている。门の鉄栅は完全にサビついて、开けるのに一苦労する有様だし、学舎は全て木造のままで、台风が来るとあちこちで雨もりがする。俺自身、正直言って、ここの建物を『素敌』だとは一度も思ったことはないのだ。しかし最近の学生の间では、クラシック趣味が流行しているらしいから、こういうのがウケるのかもしれない。 运动场--といっても30M四方の広场だが--では、香月君达が子供达に、体操させているところだった。园长もセーターにマフラーといういでたちで、一绪になって飞んだりはねたりしている。「ちょっとここで、待っていて下さい」 彼女を门のそばに待たせておいて、俺は园长のところに駆け寄った。事情を话すと、叔父から话を闻いていたらしく、すぐに理解して、「それじゃあ、园长室の方へお连れしてくれないか、私もすぐに行くから」ということだった。 俺は彼女を连れて、すぐに园长室に向った。  园长室は、玄関を入って、廊下を左に行ったところにある。 『园长室』と书かれたプレートが、掲げてある部屋の前に立ち、「ここが园长室です。それから、この隣は、小堀园长のプライベート・ルームです」と、说明した。 ドアをぐっと押し开くと、薄茶色で重厚な感じのする、応接セットが现れた。この部屋は応接室も兼ねるというので、叔父が特に気を使っている。前述の応接セットはドイツ制の高级品だし、カーペットも照明も特别注文して作らせた代物である。ボランティアの彼女は数秒程目を丸くして部屋中を见回していたが、「どこのお部屋も、こんなに素敌なんですか?」と、谁でも抱く疑问を口にした。木造の古びた建物を、この部屋とが、あまりにかけ离れて见えるのだろう。「勿论これだけ整っているのは、この部屋だけです。まあ、他の部屋のことは、そのうちに分かってきますよ」 殊に俺の部屋などは见せにくい。奈津江君や直子さんに、いつも眉を颦められているぐらいなのだから。(10/3追加)  五分程して园长が现れたので、俺は入れ替わりに部屋を出た。园长室を出て、玄関に戻る途中、左侧に食堂がある。ちょっと入ってみると、香月君が昼前の体操を终えて、子供达を部屋に连れていくところだった。子供部屋は、食堂の奥にあるのだ。「なかなか良さそうなところ女性だね。美人だし」 香月君は、俺の颜を见るなり言った。男の考えることは、谁でも同じと见える。 香月君が姿を消すのと入れ替りに、女性二人が入ってきた。「助かるわ。これで冬の间は一息つけるかもしれないわね、直子さん」「でも正直言って、男性が欲しかったわ。ぜいたくだけど…」 直子さんが、しみじみ言った。自分达が力仕事をできないことに対する、远虑の响きがあったが、彼女达はそういう意味で、案外気を使っているのかもしれない。「先刻ちょっときいたところに寄ると、もう一人彼女の先辈が来てくれるらしいですよ。今日、叔父と一绪に来るそうだけど」「それはいいね。で、やっぱり女性?」 香月君が戻って来た。「それが良くわからないんだ」「男性なら言いのに」「奈津江さんは、他の意味で、男性を望んでるんじゃないかしら」「あら、あたしそんなに焦って见える?」 奈津江君が可爱くふくれたところで、园长室のドアが开闭する音がした。廊下を歩いてくる気配がして、园长と先程の女性が姿を见せた。


          7楼2012-05-18 09:34
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            総一さんもききたいのなら一绪に来れば」「気になりますね」 俺は叔母さんをせかすように、食堂を出た。とにかくこの夫妇は、身体の不自由な娘に対して、望むものはすべて与えて来た。おそらく今回も、その一つだろうと、俺は想像した。 理砂の部屋は、明爱园の玄関を入って、廊下を右侧、つまり园长室と反対方向に歩いた突き当りにある。そのちょっと手前には二阶へ上る阶段があり、俺达の部屋へ行ける。理砂の部屋は、俺の部屋の真下にあたる。车イスで生活しなければならない彼女には、当然一阶の部屋が与えられたのだ。 爱子叔母さんは、ドアの前に立つと、二・三度軽くノックした。応答はなかった。叔母さんはノブを回そうとして、键がかかっているのを确认すると、ハンドバッグの中から革制のキーホルダーを取り出した。それには三つほど键がぶら下がっていた。 键を外して、室内に入ると、女性の部屋特有の甘い香りが、漂っていた。この部屋に入るのも随分久し振りだが、赤やオレンジ色を基调にした家具が多いことや、ちょっぴり少女趣味的なぬいぐるみなどが置いてあるところは、普通の女の子と何ら変わらない。 理砂の姿は见えなかった。(11/10追加) 「庭の方ね、きっと」 暖冬とは言っても十二月である。车椅子の少女が、一人で庭に出るには理由があった。 ガラス戸を开けて庭に出た途端、赤くきらりと光る物体が、ヒュルヒュルと音を立てて目の前を通过し、立てかけてある畳に、锐く突きささった。畳の上には、ダンボール制のターゲットの様なものが固定されていた。「ママ!」 30M程离れたところから理砂が右手を振った。左手には赤い弓を持っている。 アーチェリー--それが冲田夫妇が娘に与えた、もっとも素晴らしい赠物であったことを俺は认めよう。现在の理砂には、以前には考えられなかったような、活発さがあり、自信があり、何よりも明るさがある。 スポーツなど自分に出来る訳が无い--そう思い込んでいたのだろう、彼女も最初は叔母さんの勧めるアーチェリーに、何の関心も示さなかった。悲しそうに目を伏せながら、新品の弓と矢をケースに戻す、叔母さんの姿は强く印象に残っている。 しかし冲田夫妇は缔めなかった。辛抱强く说得をくり返し、実际の竞技や、アーチェリー教室などの见学に连れ出したりした。初めは拒绝していた理砂も、次第に弓を触るようになった。だが、彼女を梦中にさせたものは、他の原因にあると俺はにらんでいる。「ねえママ、私随分上手くなったのよ。30Mからだと、三百点ぐらい出せるの」「本当?すごいじゃない」 三百点という数字が何を示すのか、叔母さんには分っていないだろう。俺も知らないのだから。しかし叔母さんの方は、娘が元気にしているのが、ただもう嬉しくて、终始にこにこしている。「ところで、今度立川さんが见えるのは何日なの?」 无理に感情を押し杀した様な口调で、理砂は叔母さんに寻ねた。外社会との接触が少ないだけに、世间ズレしていない。感情を押さえたつもりでも、目のまわりがほんのりと赤くなった。そしてこのはにかみこそが、彼女をアーチェリーの虏にさせた、真の理由なのだ。「そのことで今日は、理砂に良い知らせがあるのよ」「何?」「実はね、冬の间は周に一度か二度、立川さんがここへ来て下さるらしいの」「ほんとう?」 理砂は、この従兄がここに下宿すると决った时にも、遂に见せなかったような辉いた表情をして念を押した。「本当よ。今日の夕方顷、见えるはずよ」「うれしい、このチャンスに、みっちりコーチしてもらわなくちゃ」 彼女は頬を红潮させたまま、軽快に车椅子を操り、レッドシャフトの矢がささっている的に、近づいて行った。 立川君というのは、N大のアーチェリー部员で、爱子叔母さんの远縁にあたる人物である。たしか名は京太郎といった。理砂がアーチェリーをやり始めた时、叔母さんが彼女に与えたコーチだ。月に一・二度、彼はここを访れて、十八年间本ばかり読んでいた少女に、スポーツする楽しみを教えているのだ。 その立川君が、冬の间はコーチの回数を増やしてくれるという。おそらく、大学が冬季休暇だからだろう。「なるほど、これは良い知らせだ」 俺は理砂に闻えない様に、叔母さんに话しかけた。叔母さんは何も答えなかったが、口元に意味あり気な微笑を浮べて、俺にうなずきかけた。どうやら爱子叔母さんも、娘の惊くべき変身の理由は、立川君にあることに、気づいている様だった。(続く) 爱园の人々3
            


            9楼2012-05-18 09:34
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              でも出来ない子は、コンプレックスを持つだけじゃない?」「ぼく达がある程度まで指导してやるのさ。99%まで手伝ったっていい。残りの1%をやらせるところに意义があるんだ」 こうして二人の论争は、二时间近くも続いてしまったのである。しかし津村には、どちらの意见が正しいのか判断できなかった。というよりも、どちらの主张する内容も『子供达の为に』という点で共通しており、それなりに立派で、强いて言えば、両方とも正しいように思えるのだった。「议论は一応この辺にして、后は明日まで保留ということにしたら」 津村は、ほんの少し劣等感を味わいながら、ようやくこれだけの事を言った。「だめだよ、クリスマスはま近だ。结论は一分でも一秒でも早い方がいい」「そうよ、このまま暧昧にして眠れないわ。是が非でも今夜中に结论を出すのよ」「でも、もう遅いし…」「よし」香月は、决心した様にうなずいた。「この际だ、今すぐ园长に相谈しよう」「小堀さんに?」「そうね、このままじゃ埒があかないし」「でも、もう床に入られたでしょう」「もしお寝みなら仕方ないだろう。决定は明日までお预けだ」「じゃ、俺が呼んでくるよ」 行きがかり上、仕方がない、俺にできるのは使い走りぐらいだ--津村は心の中で苦笑しながら、园长室に足を向けた。 廊下を歩くと、スリッパを引きずる音だけが、耳ざわりなくらい响いた。リノリウム冷えた感触が、足の裏に伝わってきそうで、津村は自然に足早になった。 园长室の前に来た时、彼はちょっと妙な感覚が、通り过ぎた様な気がした。视覚がはたらいたのか、聴覚が何かをキャッチしたのか、自分でもよく分らない程の微かな反応だが、一瞬「おや?」と思ったのである。しかしまわりに変化はなく、やはり静まり返ったままだった。 久しぶりの避番で、神経がぼけているのかもしれない--思い直して、彼はドアのノブに手をかけた。ぐるりと回してドアを押してみたが、确かな手応えを感じた。やはり键がかかっているのである。 津村は隣の部屋の前に立った。小堀のプライベート・ルームである。もし小堀が眠っていた时に、目を覚まさない程度に、という気持ちで、彼は軽くノックした。 返答はなかった。「やれやれ、クリスマス论争は明日に持ち越しか」 これでようやく眠れると、彼は大あくびをすると、时计を见た。十一时少し前だった。 食堂に戻る途中、津村は玄関で竹内敏子を见かけた。闭じまりをしているのだろう、手にマスター・キーを持っていた。 今、园长室を闭めたばかりなんだな--彼はそう思いながら、スリッパを鸣らして、食堂へ戻っていった。 (続く)それぞれの夜2
               冲田明彦は、别に好きでDUNHILLを爱烟しているのではない。元々、烟草は好きな方ではなかったが、言わば回りに対する见栄で、アクセサリー代りに、身に付ける様になったに过ぎないのだ。そのことを妻の爱子は、もう何年も前から知っていた。 その彼が今日は珍しく、その装身具を忘れたらしい。不格好にならない様に気を使いながら、コートのポケットをまさぐっていたが、やがて谛めたらしく、椅子に座り直した。吃茶店に、まさか外国烟草は置いていないだろう。しかし、だからといって、他の烟草で间に合わせる人间ではないことも、妻はよく知っていた。 爱子は、横の座席に置いてあった、黒のハンドバッグを取り上げた。中には、夫が好む金色と赤のパッケージの、DUNHILLが入っている。彼女は夫の好む烟草を、常にバッグに入れているのである。もし切らした时に、即座に补えるようにしているわけだが、それが妻の爱情によるものではないことを、彼女が谁よりもよく知っていた。それは、一种の奇妙な习惯と言えた。 爱子が烟草のパッケージを取り出し、夫の前へゆっくりと差し出すと、明彦はちょっと意外そうな颜つきで、「どうも」と言って、手を伸ばした。 なんて他人行仪な言叶だろう、と爱子は怒る気にもなれずに、あきらめ颜で彼を见た。彼の方は、思いがけぬ一服に、満足気だ。 夫が-- 病院の若い看护妇と、职业以上の関系にあることを、彼女は知っていた。林京子という娘だった。日本人离れした长い足と、豊かな胸だけが取柄の、軽薄そうな女だが、明彦の男としての欲望を充たすには、十分だったのであろう。 勿论、今更そんなことを、どうのこうの言うつもりは爱子にはない。理砂といくらも年の违わない娘と、张り合ったところで惨めなだけだ、と思っているからである。彼女は、二人の间にひとかけらの爱情も残っていないことは、もうあきらめていた。ただ我慢ならないのは、体よく妻をだましているつもりの、夫の态度だった。 现在明彦は、「冲田病院」と「花城外科病院」の二つを経営している。しかし花城外科病院が、ベッド数七十床、医师六名、看护妇十数名という规模であるのに対して、ベッド数八床の冲田病院は比较にならない。そしてその花城--は爱子の父亲から、譲り受けたものなのである。したがって、もし明彦の浮気を理由に、爱子が离婚を言い出した场合、彼にとっては非常に苦しいことになるのだ。


              11楼2012-05-18 09:34
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                つまり、もし离婚するようなことになれば、爱子は実家から『持参』した花城病院の、取り戻しを要求するだろう。いや、そんなことをする必要はない。花城病院の権利は、爱子名义のままなのだから。 とにかく、明彦にとって爱子と别れることは、折角手に入れた财宝を逃してしまうことになる。これから、一层の飞跃を狙う彼にとって、それは绝対に避けねばならない事态だった。 それで、浮気の件は、决して妻に知られてはいけないのだが、そうした夫の计算に妻は怒りを感じるのだ。なぜならそのことは、明彦が病院を目当てで、彼女と结婚したのだという真実に、帰着してしまうからだった。现在でこそ、彼女はもうすべてを悟ってしまっているが、婚约时代から新婚生活に至る间では、それこそ华丽なる青春のつもりだった。大恋爱の末、结ばれたのだという幸福感に浸っていたものである。それが今、こうして悲しい现実を见せつけられると、たまらない绝望感におそわれるのだ。(自分と结婚するのが、この男の计画の初期条件であったなら、あのめくるめく新婚初夜の枕元でささやいた、あの、「家も病院も関系ないさ。君という人を爱しているんだ」という科白は、一体何だったのだろう?そしてその甘い言叶に恍惚とした自分は一体?) 彼女は、浮気の件で事を荒だてるつもりはない。それを知らずに、何とか隠そうとする明彦には、ある种の滑稽さと、吐き気を催すような憎悪さえ覚えた。(いま、この人と私をつないでいるものは、理砂だ。あの子だけは何とか幸福にしてやりたい)(02/13追加)   その时、明彦がふいに颜を上げた。「理砂のことだが」 爱子は、突然心の中を読まれた様で、どきりとした。「アーチェリーを勧めたのは、正解だったようだな」「ええ、何といっても若いんですから、スポーツをさせるのが一番ですわ」 心では何と思っていようとも、こういう风に良妻ぶった受け答えをしてしまう自分にも、彼女は腹が立った。「ところで…一体いつまで、あの子をあのままにしておくつもりだ?」「いつまでって…あなた」「そろそろ、家で住ませたらどうだろう?」「ええ…」 爱子は暧昧にうなずいた。 理砂が明爱园に住むようになったのは、彼女が高校を出てすぐ、つまり一年半程前だった。成绩は优秀だったが、进学は考えず、しばらく一人になって、将来をゆっくり考えたい、という理砂の希望をかなえたのだ。 昼间の彼女の健康的な笑颜を、爱子は思い出した。现在の生活に満足している様だったが、家へ戻れと言ったら、どんな反応を示すか、爱子は不安だった。「いつまでもって訳にもいかんだろう。自分の家があるんだから」「それはそうですけど…」 たしかに明彦の言うことも、分らないではない。しかし、今あの子を引き取ったところで、一体自分达に何ができるというのだ。両亲共、病院の経営に忙しく、身体の不自由な理砂にかまうことなど、不可能に近い。(何ができるというの?) だが爱子は、口には出さなかった。「大丈夫、ちゃんと世话する人间はいるんだ」 妻の気持ちを察したように、明彦は楽天的に笑った。「もう见つけてあるんですか?」 思わず声が高くなった。明彦が、どうしてこんなことを言い出したのかも不明だが、その手廻しの良さも気になった。「いや、まだ本决りというわけじゃないんだがね…」「どうしてそんな大事なことを…」「相谈しようと思ったんだが、君は忙しそうだったからね」「理砂のことは、胜手に决めないで下さい。お仕事のことなら口出ししません。でも…」「わかった、すまなかったよ」「谁なんです、理砂の世话をしてくれる人って?」「いや、だから未だ正式に决めた訳じゃないんだ。候补者がそろったら、君と相谈して决めることにしよう。それなら文句はないだろう?」 吃茶店のボーイが、怪讶そうにしているのを横目で见ながら、明彦は弁解调で答えた。(気づかれたかな) 彼はライターを弄びながら、探るように上目使いで妻を见た。 理砂の世话は、林京子にさせるつもりでいる。そうすれば今までのように、病院内で隠れてこそこそと、逢う必要がない。爱子はどうせ花城外科病院の経営が忙しくて、留守にすることが多い。堂々と自宅で、京子の若い身体に浸ることができるのだ。もっとも、病院を脱け出す口実を、考えなければならないが。 明彦は、その日が来るのを、今から心待ちにした。「おっ、もう十一时だ。そろそろ帰ろう」 彼はレシートを片手に、立ち上った。それぞれの夜3
                


                12楼2012-05-18 09:34
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                  想看····不过看不懂


                  IP属地:四川14楼2012-05-18 10:30
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                    求翻译帝


                    15楼2012-05-18 10:40
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                      **语才刚过3级,就知道序章(prologue)那段啦。。。
                      大意是说一个父亲久志带著小女儿里子去参加大女儿和美的婚礼。他妻子三年前去世,剩下他独立辛苦照顾拉拔两个女儿。
                      貌似大女儿是妻子前一段婚姻的孩子,但和他感情很好。一边走,一遍回忆起青年向和美求婚的情景。女儿出嫁当天早上和他说,一直以来谢谢你了,爸爸。久志的眼眶还是湿润了。
                      但很不幸地,就在快抵达教堂的时候,小女儿被电单车撞了。白衣服,白鞋子,还有鲜红的血...
                      下面的就不知道了...3级神马的,真是超级不够用,我要继续努力!


                      16楼2012-05-18 11:10
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                        丫的。。一路翻下来全看不懂,求翻译。。


                        来自手机贴吧17楼2012-05-18 12:19
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                          这个要顶。


                          18楼2012-05-18 12:24
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                            有点困难。。慢慢看。。。


                            19楼2012-05-18 12:26
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                              顶楼主!纯支持吧


                              IP属地:内蒙古20楼2012-05-18 13:14
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