「今日は今日の気持ちを歌いたいと思います」とHikaruが言って歌われた「花束」、目を閉じれば草原の夜空が浮かぶような「満天」、激しさに内包した切なさを見事に表現した「百火撩乱」を披露し、「百火撩乱なんかはパワーボーカルの曲なので、アコースティックだからよけい3人の声が重なるんです」とKeikoが語る。筆者がライブを見てきたこの数年間だけでも、確実にKalafinaの声の音圧は上がっていると思う。
そして「違う光の景色を歌っている曲です」と言われ放たれたのは「ひかりふる」「光の旋律」「into the world」の三曲。確かにどれも違う光を歌った曲だが、その真ん中には3人がいる。人にとってはKalafinaという存在は、優しく差し込む木漏れ日にも、眩しくギラつく真夏の太陽にも、暖炉の炎のような温かい光にも感じるだろう。
自分は今、Kalafinaをどういう光として捉えるんだろう? 曲を堪能しながらふと思い、心に浮かんだのは“暗闇の先に見えるちいさなヒカリ”だった。9年間を走り続けた彼女たちは常にその先にある“ちいさなヒカリ”を目指していたのかもしれない。その渇望や音楽に対する愛があるからこそ、その歌は人の心を打つ。ヒカリを求めた彼女たちは気がつけば優しい光そのものになっていた。その輝きに癒やされるものや、希望を持つものたちが居る。アーティストとして正しくKalafinaは進化している。
「今日で15公演目、色んな場所に行かせていただきました」というWakana、これまで何曲の歌を歌ってきたのだろうか、いくつの音を表現してきたのだろうか。全てが彼女たちの経験値だ。
「Winter Wonderland」、そしてアンコールとして「snow falling」と冬の曲を披露、勿論お馴染みHikaruによるグッズ紹介のトークコーナーも健在だ。Hikaruの会話を聞いているWakanaとKeikoが、とても楽しげにしているのが何時も印象的だが、この日も楽しげに話を聞く二人はまるで仲良し姉妹のようにも見える。
2017年最後にKalafinaが歌うことを選んだのは「have yourself a merry little Christmas」素晴らしいクリスマスを! そう歌で伝える彼女たちは、いよいよ10年目のその瞬間を迎える。暖かな音楽を胸に抱きながら、共にその瞬間を迎える喜びを伝えるために。心に光を携えて、我々は武道館に向かうのだろう。

ライブ終了直後のKalafinaに今年最後のインタビュー
――2017年歌い納めましたが、今年はどうでしたか?
Wakana:本当に毎月毎月歌を歌わせて頂いて、今年が9周年ということで10周年を前に今までを振り返るということが多かった年でした。2つのツアーをすることができて、3人で一曲一曲について改めて考えて、そして来年につなげていこうと思えたとても濃厚な一年だったので、楽しかったです。
Hikaru:私は“向き合う”ということを自分のテーマにしていたので、本当にいろんなことと向き合いましたね。お客さんもそうですし、自分とも向き合えたというか。私にとって今年は年齢的にも節目の年だったので、歌に対しての向き合い方なんかを自分の中で少しずつですけれど、納得できる形に少しだけ、一歩進めることが出来た一年でしたね。
Keiko:何よりもこの一年は二人にハーモニーを重ねるのが凄く楽しくて、今日はその楽しさを目一杯感じようとしていました。心の響き、隣で聴こえてくる体温の響き、鼓膜で感じる響き。二人の声をたくさん感じながら、自分の体の一部のように大事に歌うことが出来て、今年の歌い納めが一番メンバーの声を感じることが出来たので、素晴らしかったですね。
――本当に色々な所で歌われてきた一年だったと思いますが、今年の総括と来年に向けて一言いただければ。
Wakana:そうですね、やっぱり去年に続いて歌うことについて凄く考えた一年だったんです。今年は笑顔で楽しく歌えたかなと思うので、それが自分にとっては一番の音楽なんじゃないかなと。来年も笑顔の年にしたいと思ってますし、音楽は私たちにとって、ハーモニーというものにも、"3人で一つ"ということにもつながるものなんですけど、やっぱり"Kalafinaにとっての音楽"というものを考えて、大事にしていきたいと思っています。
Hikaru:今年一年、皆さんのお手紙やメッセージ、SPICEさんの生放送のTwitterのコメントなんかを見て、本当に力をもらって進んできた一年でした、来年はその力をギュッと凝縮して、全部放出できるくらいの力で走りたいと思います。
Keiko:歌いはじめの周年ライブで、"お客様のことを考えた一年に"と伝え、どれだけできるかなって思いながら始めた一年だったんですけど、沢山のお客様が待っていてくれているということと、これだけお客様の声を聞きながら活動ができたのは今年が初めてだったんです。目一杯皆さんを感じることが出来た一年でした。その思いを更に武道館で皆さんに届けるので、ちゃんと心と体を整えて、皆さんに会いたいです。
――1月23日の10周年ライブ、そして僕たちSPICEの『Songful days』にもご出演頂きます、楽しみにしていますので!
Kalafina:私達もです!ありがとうございました!
インタビュー・文:加東岳史 撮影:キセキミチコ