unnamedmemory吧 关注:4,063贴子:15,667
  • 4回复贴,共1

貴方のことを思う 039

只看楼主收藏回复

貴方のことを思う 039
自室に戻ったオスカーは、内心うんざりしながら椅子に座っていた。
さて、どうしようかと思う。
彼の目の前には、淡い紅色のドレスを着た気位の高そうな姫が座っていて、じっと彼を見つめている。
兄の代わりに出席してきたタァイーリの王女、チェチーリアであった。
オスカーはクスクルの件について話を聞きたいと思い、彼女に話しかけたのだが、チェチーリアは込み入った話なのでここでは出来ないと自室に押しかけてきた挙句、先ほどから全然関係ない話ばかりしている。どうやら様子を見るだに彼女は何も政治の話が分からないらしい。或いは彼女に課せられた役目は、クスクルに対抗するために有力な国の実力者を味方につけることなのだろうか。ただオスカーに向かって媚態を示してくる。
いい加減追い出すか……と彼が腰を上げかけた時、外から窓が叩かれた。オスカーは自然とその名を呼ぶ。
「ティナーシャ、どうした」
窓を開けて入ってきた彼女は、チェチーリアに気づいて驚いた顔をした。
どうせまた、お邪魔しましたとかややこしいことを言うんだろう、と予想していたオスカーはしかし、魔女がチェチーリアに
「申し訳ありませんが大事な用がございますので、お引取り頂けますか」
と毅然と告げたのを見て、呆気にとられる。だが当然ながら、チェチーリアは怒りに顔を赤くしただけだった。
「そんなところから突然来て厚かましい。殿下、この方はどなたなのです!」
「私の魔……法士です」
危うく魔女と言うところだったのを彼は修正する。
チェチーリアは男の答に眉を跳ね上げた。ティナーシャのすぐ前に歩み寄ると、深い闇色の目を睨みつける。
「魔法士ですって? 魔法士風情が無礼な……。穢らわしい。出ておいき!」
傲慢にそう言い放つ王女に頭に来たオスカーが何か言うより先に、ティナーシャが口を開いた。
「魔法士風情? 口を慎め、痴れ者が」
「なんですって!?」
「去ね。二度言われなければ分からないのか?」
空気までもを支配する静かな威厳。チェチーリアはその迫力に押されて後ずさった。オスカーは唖然として魔女を見つめる。
魔女である彼女が恐ろしい威圧感を放つのを見たことはある。しかしこのように人を芯から縛り、従わせる目をしたことは今までない。
それは彼も持っているもの、すなわち、人の上に立つ人間の―――― 王者の持つ目だった。
チェチーリアはすがるようにオスカーを見たが、助けを得られないと分かると逃げるように部屋から出て行く。
後には魔女と、その契約者が残された。
オスカーには、正装をした彼女が纏う雰囲気を変えたことで、まるで知らない女のように見えていた。
彼女はゆっくりと振り返るとオスカーの前に立つ。大きな瞳には自嘲が滲んでいた。
「ティナーシャ?」
彼女は微笑みながら口に人差し指を当て彼に黙るように示す。そのままふわりと浮かび上がると右手を軽く振った。細い人差し指から血が零れ始める。
彼女はオスカーの首に両腕を回して、左耳の後ろに血のついた指で何かを書き始めた。その作業に集中しながら、男の耳に囁く。
「オスカー……私は本当は四百年前に死んでいるはずなんです……。
 今の私は魔女ですらない。死すべき子供の残滓に過ぎない。死者に魅入られてはいけないんです」
彼女は書き終ると、両手でオスカーの顔を挟んだ。日の落ちたばかりの、澄んだ空色の瞳を正面から見つめる。
「貴方は貴方の為すべきことをしてください。貴方の肩にこの国の民の未来がかかっていることをどうか忘れないで」
真摯な目。
その闇は深淵である。
オスカーは理由のない不安に捉われた。
「ティナーシャ? どうかしたのか?」
彼女は目を閉じると頭を振る。
そしてもう一度、彼女の契約者を見つめると美しい紅色の唇を開いた。
「ルクレツィアの術を解いた時の……私の言葉を覚えていますか?」
オスカーは目を瞠る。
彼女は答えを待たなかった。
白い、悲しげな貌を寄せてそっと男の唇に口付ける。
そして彼女は音もなく床に降り立つと、男に背を向けた。
闇色の目が見つめる先の空間が歪む。
次の瞬間、そこには見知らぬ男が転移してきていた。
長く白い髪は、乳白というより溶け入りそうな雪の白さだった。肌も同じく白い。
細い体に秀麗な容貌のその男は、ティナーシャを見つめると微笑む。
「アイティ、迎えに来たよ。随分大きく……美しくなったね」
その言葉にオスカーは思わず声を上げそうになった。そして自分の声が封じられていることに気づく。
注意してみれば体も動かない。さっきの口付けで魔女が術をかけたのだ、ということに彼はようやく思い当たった。
彼に背を向けているティナーシャの表情は分からない。
しかし彼女は不意に床を蹴ると、男に向かって駆け出した。その首に腕を回して抱きつく。
「ラナク! ラナク! 本当に生きていたのね」
喜びに溢れた声。ラナクと呼ばれた男は彼女の髪を愛しそうに撫でた。
「君が僕を探していることは知っていた。でもずっと動けなくてね……すまない。もう淋しい思いはさせないよ」
ティナーシャは浮かび上がると男の額に口付ける。その横顔を見て、オスカーは少なからず衝撃を受けた。
彼女は本当に幸せそうな、喜びに泣き出しそうな顔をしていたのだ。仮面としてのそれではないことは、彼にはよく分かった。
ラナクは、オスカーの存在にまったく気づいていないかのように、ティナーシャの顔に触れる。彼女は目を閉じてその手に自分の手を重ねた。
「ずっと探していたの。絶望するかと思った。でも諦め切れなかった。―――― 夢じゃないのね」
「ちゃんといるよ。ここに。君の傍に。君の為に祖国も作った。クスクルというんだ。小さい国だけど、すぐに大きくなる。
 きっと気に入るよ。君はそこの王妃になるんだ」
オスカーは愕然とした。
突如できた魔法士の国、それを作ったのは目の前の男なのだ。ティナーシャを迎えに来た使者の捨て台詞が蘇る。
優しげで、しかしどこか不穏な危うさを持つこの男が彼の国の王だというのだろうか。
ティナーシャは陶然とした表情で答えた。
「私の国なら、我儘いっぱい言うよ?」
「いいよ」
ラナクは彼女の体を左手で抱えるように抱く。そしてその時初めて気づいたかのように、オスカーを見据えた。
「彼は?」
「契約者だった人よ」
「アカーシアの剣士か。危ないな」
ラナクがオスカーに向かって右手をかざす。それを見て彼女の顔が一瞬歪んだ。オスカーの呪縛が解ける。
素早くアカーシアを抜こうとした彼との間にティナーシャが飛び込んだ。彼女はラナクの方を向いて微笑む。
「放っておきましょう。剣に力があっても所詮は剣。使い手に力がなければどうにもならないわ」
「ティナーシャ!」
悪い夢を見ている気がする。
彼の魔女がひどく遠く感じられた。
今彼女は何処にいるのだろう。
ティナーシャはゆっくりと振り返る。
その闇色の目に敵意を湛えて。
「貴方との契約は今夜で終わりです。呪いは解いた。もう私に用はないでしょう?」
「まだ時間はあるはずだ」
「もうない」
酷薄な笑みがそこに浮かぶ。
オスカーはアカーシアを抜いた。
「その男とは行かせない」
「……ラナクを傷つけるつもりなら、私がお相手します」
ティナーシャは両手を広げる。そこに一振りの剣が現れた。彼女は長剣を無造作に取る。
空気が緊張する。
オスカーは、ともすれば混乱に乱れそうな精神を制御し、統一した。ティナーシャが剣を構えるのが見える。
この距離なら殺せる。
オスカーはそう確信した。
そしてだからこそ、踏み込むことができない。
戦いに集中する意思と、それを拒む意志の二つが彼の精神を二分していく。
沈黙が永遠になるかと思われたその時、彼女の体を後ろからラナクが抱きしめた。
「もういいよ、行こう」
ティナーシャは苦笑すると頷く。魔力が二人を包んだ。
「ティナーシャ!」
オスカーが叫んだ時、彼の魔女の姿は部屋の中から忽然と消えていた。


IP属地:广东1楼2021-04-05 00:49回复
    我想你。039
    回到自己房间的奥斯卡,内心有些厌烦地坐在椅子上。
    那么,该怎么办呢?
    在他的面前,坐着一位身穿淡红色礼服的高贵的公主,正目不转睛地盯着他。
    她是代替哥哥出席的塔伊利的公主切西莉亚。
    奥斯卡想问她关于库斯库尔的事,于是跟她搭话,但切西莉亚说事情太复杂了,不能在这里说,于是就来到自己的房间,从刚才开始一直在说一些完全无关的事情。看样子她对政治一点儿也不懂。或者说,她的任务是为了与库斯库尔对抗,而将强大的国家的实力派拉到自己身边吗?只是冲着奥斯卡献媚。
    干脆赶出去吧……他正要起身的时候,窗外被人敲了一下。奥斯卡很自然地叫着这个名字。
    “蒂娜沙,怎么了?”
    打开窗户进来的她,发现了切西莉亚,露出惊讶的表情。
    奥斯卡本以为她又会说什么“打扰了”之类的麻烦的话,但当魔女对切西莉亚说:
    “不好意思,我有重要的事,麻烦你能出去吗(这里原文是お引取り頂けますか,机翻过来是“能帮我取走吗”,感觉不对劲就换成了我的理解)?”
    看到她毅然决然地说出这句话,我目瞪口呆。当然,切西利亚只是因为愤怒而红了脸。
    “从那种地方突然来,真是厚颜无耻。殿下,这位是哪位?”
    “我的魔……法师。”
    他修正了差点说成是魔女的事实。
    听到男人的回答,切西莉亚皱起了眉头。走到蒂娜莎的跟前,瞪着她那暗色的眼睛。
    “什么魔法士?魔法士的样子很无礼……很污秽。出来!”
    奥斯卡对傲慢地说出这番话的公主很生气,还没等她开口,蒂娜莎就开口了。
    “魔法士风情?闭嘴,痴情的人。”
    “什么? !”
    “走吧,你要我说两遍才明白吗?”
    支配空气的安静的威严。切西利亚被他的气势压倒,后退了几步。奥斯卡目瞪口呆地看着魔女。
    我曾见过身为魔女的她散发出可怕的压迫感。但迄今为止,还没有像这样从内心束缚人,让人臣服的眼睛。
    那是他也拥有的东西,也就是站在别人之上的人的——————王者所拥有的眼睛。
    切西利亚无助地看着奥斯卡,但当她知道自己无法得到帮助时,就像逃跑一样走出了房间。
    剩下的是魔女和她的契约者。
    在奥斯卡看来,穿着正装的她改变了装扮的气质,简直就像一个陌生的女人。
    她慢慢回头,站在奥斯卡面前。大大的眼睛里透着自嘲。
    “蒂娜莎?”
    她微笑着用食指捂住嘴巴示意他闭嘴。就那样轻飘飘地浮出水面,轻轻挥了挥右手。细细的食指开始滴血。
    她双手环抱着奥斯卡的脖子,用左耳后沾着血的手指开始写东西。我一边专心工作,一边在男人耳边低语。
    “奥斯卡……我本来应该在四百年前就死了……
    现在的我甚至不是魔女。只不过是即将死去的孩子的残渣。不能被死者迷住。”
    她写完后,用双手夹住奥斯卡的脸。从正面凝视着刚落下的太阳,清澈的天蓝色瞳孔。
    “请你做你该做的事。请不要忘记,这个国家人民的未来就在你的肩上。”
    真挚的眼睛
    黑暗是深渊。
    奥斯卡感到莫名的不安。
    “蒂娜沙?怎么了?”
    她闭上眼睛,摇了摇头。
    然后再次凝视着她的契约者,张开美丽的红唇。
    “你还记得我解开勒克莱齐亚之术时说的话吗?”
    奥斯卡瞠目结舌。
    她不等回答。
    苍白而悲伤的脸凑到男人的唇边,轻轻吻了一下。
    然后她悄无声息地落在地板上,背对着男人。
    暗色的眼睛凝视的前方的空间扭曲了。
    下一个瞬间,一个陌生的男人转移了过来。
    长长的白色头发,与其说是乳白,不如说是快要融化的雪白。皮肤也一样白。
    身材纤细、容貌秀丽的那个男人,一看到蒂娜沙就会微笑。
    “阿蒂,我来接你了。你变大了……变美了。”
    听到这句话,奥斯卡差点叫出声来。然后发现自己的声音被封住了。
    仔细一想,身体也动不了。他终于想到,刚才的吻是魔女施的术。
    我不知道背对着他的蒂娜沙的表情。
    但她突然一脚踹在地板上,朝男人跑去。用胳膊抱住她的脖子。
    “拉纳克!拉纳克!你真的还活着吗?”
    充满喜悦的声音。被称为拉纳克的男人疼爱地抚摸着她的头发。
    “我知道你在找我,但是一直找不动……对不起,我不会再让你寂寞了。”
    蒂娜沙浮现出来,吻了吻男人的额头。看到他的侧脸,奥斯卡受到了不小的冲击。
    她看起来真的很幸福,高兴得快要哭出来了。他很清楚,那不是作为面具。
    拉纳克摸了摸蒂娜沙的脸,似乎完全没有注意到奥斯卡的存在。她闭上眼睛,把自己的手放在那只手上。
    “我一直在找你。我以为你会绝望,但还是没有放弃。——这不是梦吗?”
    “有啊。在这里。在你的身边。为你建立了祖国。叫库斯库尔。虽然是个小国,但是很快就会长大。
    你一定会喜欢的。你将成为那里的王妃。”
    奥斯卡愕然了。
    突然出现的魔法士的国度,制造它的是眼前的男人。来迎接蒂娜沙的使者的台词复活了。
    这个既温柔又有几分不安危险的男人是他的国家的王吗?
    蒂娜沙用陶然的表情回答。
    “如果是在我的国家,会说得很任性吧?”
    “好啊。”
    拉纳克用左手抱着她的身体。然后,他仿佛这才注意到似的,目不转睛地盯着奥斯卡。
    “他呢?”
    “是签约的人。”
    “阿卡西亚的剑士啊,危险啊。”
    拉纳克向奥斯卡伸出右手。看到这个,她的脸瞬间扭曲了。奥斯卡的诅咒解除了。
    他想要迅速甩开阿卡西娅,而蒂娜沙却冲了进来。她朝着拉纳克微笑着。
    “放着不管吧。即使剑有力量,也终究是剑。如果使用的人没有力量,那也无能为力。”
    “蒂娜沙!”
    我好像在做噩梦。
    他的魔女感觉非常遥远。
    现在她在哪里呢?
    蒂娜沙慢慢回头。
    那暗色的眼睛里充满敌意。
    “我和你的契约到今晚就结束了,诅咒解除了,已经没有我的事了吧?”
    “应该还有时间。”
    “已经没有了。”
    冷酷的笑容浮现在眼前。
    奥斯卡绕过(此处“绕过”一词机翻为“超越”,换成了我的理解)了阿卡西亚。(原文オスカーはアカーシアを抜いた。)
    “我不会让你和那个男人一起去的。”
    “……如果你想伤害拉纳克,我来陪你。”
    蒂娜沙张开双手。这时出现了一把剑。她随手拿起长剑。
    空气仿佛凝固了起来。
    奥斯卡控制并集中着动不动就会陷入混乱的精神。我看见蒂娜沙拿着剑。
    这个距离可以杀了他。
    奥斯卡对此深信不疑。
    正因为如此,才不敢踏入。
    专注于战斗的意志和拒绝战斗的意志将他的精神一分为二。
    就在沉默即将成为永远的时候,拉纳克从后面抱住了她的身体。
    “算了,走吧。”
    蒂娜沙苦笑着点了点头。一股魔力包围了两人。
    “蒂娜沙!”
    奥斯卡大叫的时候,他的魔女的身影突然从房间里消失了。


    IP属地:广东2楼2021-04-05 01:06
    回复
      我要剧透吗,反正这是个纯爱小说。


      IP属地:广东3楼2021-04-05 01:07
      回复
        我想被剧透忍不下去了


        IP属地:广东来自Android客户端5楼2021-04-09 00:28
        收起回复