3-6
お母さん:ただいま、あら、和辉、帰ってるの?
和辉:お、ああ、お帰り。
お母さん:もっと遅いかと思ってた。お父さんはまだみたいね。
お父さん:ただいま。
お母さん:あら、ちょっとお父さん、饮み过ぎじゃないの?
和
辉:近ごろ母はずいぶん穏やかになった、受験がかきょうのごろはぎすぎすしていた家の雰囲気も平穏になり、强引に一人暮らしを始めた瀬里とも、こまみに连
络を取りあっているらしい。今の生活は穏やかで満ちたされていると思う。ただ、笙惟と寝たあの夜の高扬と歓喜がくすぐり続けて、忘れられないだけで。
男の人:ショウイ?ああ、あの时のやつか?でも、连络先だって、飞び入りだったから、あいつがどこの谁だが、店の方じゃさっぱりわかんねんだよ。和辉:じゃ、あのアフロのやつは?あいつ正式なDJだったんじゃねえの?
男の人:おお、スタン?あいつもベルプだし、それに确か帰国したはずだよ。あの夜が日本最后のステージとか言ってたから。ショウイもあのレベルだったら绝対话题になってると思うんだけど。本职じゃねえのかもなあ。
和辉:翌朝、案の定ホテル代だけを残していなくなっていた笙惟を、见苦しいと分かっていながら、クラブに何度も足を运んで探そうとした、だが手がかり一つ手に入れることはできず、夏が过ぎたころには何もかも追い诘められて、结局その矛先が向かったのは瀬里にだった。
和辉:瀬里は俺なんかいなくていいんだろ?今の店とか大学とか、そういうの方が大事なんだろ?
瀬里:そうなこと、ないよ、でもね、俺は失败しても自分でやりたいんだ。よかれと思ってするだけじゃダメなんだよ。あと、相手がどうんな気持ちで言ってるのか、思い込みで拒むんじゃなくて、自分で考えて受けとらなきゃダメだよ。
和辉:瀬里。。。
瀬里:和辉は顽张ってるよ、でも、もうちょっとだけ、やってみなよ。
和
辉:家を出ていきいきとしている瀬里に苛立ち、腹立ち纷れの本音をぶつけた俺に、向けられた言叶と瞳は真挚なものだった。その言叶で、余裕のない自分に気
つかされ、许されたとき、自分でも惊くほど素直になれた。それも、あの夜の笙惟の抱拥がきっかけだったのだろ。だが结局.平穏な生活を手に入れても思い出
すのは、手がかり一つ残さず消えてしまった男のことばかりで。
真雪:ていうか、このあたしを谁のかわりにしようとしてんの?あんた。
和
辉:真雪を谁かのかわりにする気はなかったが、あの夜の彼と似たような眼差しをする彼女になら、いつか本気になれ
るかもしれないと思ったのは本音だった、だが、あさっりと真雪には见透かされ、会いたくても会えない相手は、どう探せばいいのかそれすら分からず、无力感
に苛まれるばかりだ。
笙惟:縁があれば、会えるじゃないか?
和辉:縁があればって、无理に决まってるし。えん、もう寝るか。
笙惟 :FMミッドナイトポップチューン、そろそろお别れの时间となりました。ラストはこちらの曲を届けします。
和辉:うん、声だけなら、このDJの方が笙惟と似てるかも知れないな。
笙惟:それでは皆さん、see you next week, 今宵の相手は、大沢笙惟でした。